プレール・ドゥーク京橋

プレール・ドゥーク京橋 外観
プレール・ドゥーク京橋

 戸建て住宅への融資限度額が、同年度では木造83万円、コンクリート造91万円に対して、高層住宅が同150万円とかなり高額になっているのは、高層住宅を新しい都市住宅として高く評価していることのあらわれとみることができた。建設省や公庫と折衝して、マンション融資を実現した日本高層住宅協会では、次のような意義をとりあげて、この新しい融資を歓迎した。この融資は、今後の都市住宅のあるべき姿が高層住宅であることを、政府がはじめて施策の上で承認した、という意義をもつものである。一戸建て住宅を買高層住宅を買う人の方が、より多くの助成を受けることができるわけだが、これは、土地の高度利用や職住近接の必要性からみても当然のことといえよう。こうしたことが公認されたということは、わが国の住宅政策史の上でも、とくに注目すべきことである。融資の方法としては、前記したように、マンション会社への融資と個人への直接融資があげられていたが、後者には問題が多いということで、前者の方式をとり、それまでにもあった公庫融資付き・民間ローン併用の場合のメリット、購入するマンション2DK・568万円都市銀行の住宅ローンを利用した場合(住宅ローンにはボーナス時返済を併用する制度があるが、公庫融資と比較するため、毎月返済のみのコースとした)と、公庫融資(限度額1戸150万円)と住宅ローンを併用した場合の比較(頭金はマンションの30%)建売住宅と同様、公庫融資付きマンションとして売り出すということになった。
 また、700万円という総額の制限からみて、どの程度のマンションが買えるかということになると、立地条件でもちがってくるが、だいたい2DKから2LDK、3DK程度のものであった。標準的な間取りとしては、1LDKのようなものがあった。(雑誌『高層住宅』による)初期の融資とその後の制度として45年度からスタートした。公庫融資付き分譲マンションの初期の事例をみてみよう。この制度の初の適用を受けた第1号は、長谷部産業の武蔵小山フラワーマンションであった。
このマンションは、45年7月末に分譲を発表、8月に募集を行った。総戸数は63戸分譲価格は550万~625万円であった。融資対象限度額におさまる価格である。63戸のうち、4戸の専用面積は23坪強、間取りは2DKで、一平方メートルあたり単価は約14万円であった。長谷部産業は、もともと大衆マンションの供給を旗じるしにマンション分譲に進出、500万~700万円の物件を中心に分譲してきた会社であり、こうした会社の姿勢からみて公庫融資付き第一号となるのにふさわしいところであったともいえよう。第2号は、東京建物の高級マンションで、これは同年8月22日に分譲を開始した。全戸数75戸のうち25戸が公庫融資付きであった。この25戸の分譲価格は566万~725万円であった。22日から5日間、募集、受付けを行ったが、非常な人気を集め平均競争率が9倍弱であった。

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