人気上昇中の勝どきエリアに立地する築浅デザイナーズマンション、ロメック勝どき。住宅地開発事業に関する法律は、同開発事業が活発化し、一般化してきた30年代後半から進められるようになった。最初に制定されたのは36年の宅地造成等規制法であった。これは、同年梅雨期の集中豪雨で、横浜市、神戸市などで造成宅地のガケ崩れ・土砂流れが多発し、相当数の死傷者、家屋損壊を生じたことから、緊急防災立法として制定されたものであった。だが、住宅地開発については、最低限の安全(防災)を求めるだけでなく、好ましい住環境の確保、各種必要施設の整備などを要望する声が強く、また、地元自治体の都市計画との整合性も必要とされた。こうした各面からの総合規制、自治体と開発事業者との事前協議とそれにもとづく許可制度を内容とする住宅地造成事業法が39年に制定された。この法律は、43年に都市計画法に吸収され、現在は、同法の開発許可制度となっている。ところで、前記の自治体と開発事業者の事前協議は、それぞれのケースで個別に行われていたが、やがて人口急増の市町村などでは、都市計画法(当初は住宅地造成事業法)で義務づけられた施設以外の施設、たとえば義務教育施設用地、公民館なども整備についての協議の対象とするようになり、自治体財政の窮迫などを理由として、開発事業者に負担を求め、実質的にはそれらの負担を許可の条件とするような傾向が強くなってきた。
さらに、42年5月、兵庫県川西市は、こうした事前協議の内容と基準を成文化し、住宅地造成事業に関する指導要綱、として発表、同市内における開発事業者に、この要綱による事業実施を求めるようになった。これが、自治体による初の宅地開発指導要綱である。
この後、神奈川県川崎市、東京都八王子市、同武蔵野市など、同じような要綱を発表する自治体が続出、とくに三大都市圏で宅地開発事業が行われているほとんどの市町村で要綱が設けられるようになった。また、宅地開発事業の進展とともに、その後、これら要綱による規制、負担増要求は、その後の40年代はじめかさらに50年代半ばごろ以降になり、ようやく行政全般についての規制緩和の流れで、いくらか修正緩和方向がみられる。
当時の代表的な自治体の要綱・基準として、川西市の「要綱」、川崎市の「基準」の関連条項を次にあげておこう。
川西市「住宅地造成事業に関する指導要綱」第4条事業者は自己の造成する施行地区、住宅地造成事業に関する法律第二条第五項に規定する。
公園、緑地、河川、水路及び消防の用に供する貯水施設を自己の費用で入念に施行しなければならない。事業者は前項に定める公共施設のほか、施行地区内に次の施設を自己の費用で施行し、市に寄付又は譲渡しなければならない。上水道施設、小学校及び中学校、消防署、幼稚園、保育所、公民館、警察派出所、施設学校施行区域内の計画人口8000~10000人程度の規模の場合には、小学校一校の用地を提供すること、前項以外の場合で、当該施行区域を中心とし、半径500メートル以内に既設もしくは小学校がない場合で市が必要と認めた場合には、小学校一校分の用地を提供すること。中学校用地については、施行区域の規模及びその周辺地域の状況を考慮し、市が必要と認めた場合には、中学校一校の用地を提供すること。校地の位置選定については、「都市計画学校設計標準」によるほか、次の条件を付する。校地の位置は近隣住区の中心施設となるよう選定すること。通学に安全で、かつ便利な位置を選定すること、日照、通風、排水のよい位置を選び、崖地、低地等災害のおそれのある場所は避けるようにすること。周囲は道路に囲まれるようにすること。施行区域内に設置される学校については、校舎等の基本的な施設は、起業者が施工することを原則とし、その費用の支払方法については、別途協議とする。
宅地造成事業を適用対象としており、民間宅地開発事業のほとんどがその適用対象となるものであった。こうした事
業者の負担増は、当然、造成宅地のコストアップを招くものであった。近隣施設:マルエツ