OZIO勝どき


2008年築のスタイリッシュモダンな地上12階、総戸数43戸のデザイナーズマンション、OZIO勝どき。アルコーブとはもともと、住宅室内における凹んだ部分をいうが、マンションにおけるアルコーブ式玄関とは、外廊下や階段ホールなどからやや凹ませて設けた玄関のことを呼ぶ。この方式の玄関を早くから採用していたマンションがあったのだが、一躍クローズアップされたのが、昭和53年6月の宮城県沖地震のときから。宮城県沖地震では、マンションもその被害を免れなかったが、被害の主なものは、地震によって開口部建具や玄関ドアの開閉が不可能となり、室外への避難ができなかったというものであった。ところがアルコーブ式玄関の住戸では、玄関ドアにこうした被害がなく、室外への避難が可能だったという報道がなされた。つまりアルコーブ式玄関のドアは、地震による揺れの力を受ける壁面と同一平面にないために、玄関ドアが揺れの力を受けることが少なかったからである。その後、首都圏などのマンションでも、この方式の玄関が盛んに採用されることになるが、その目的は、地震のときに安全ということのほかに、住戸のプライバシー維持に効果があるという点にある。つまり、外廊下などから数十センチ後退した部分に玄関ドアがあり、ここからの室内への出入りには、他住戸からは見えないプライバシー維持があるというわけである。また、アルコーブ式玄関の外側に門扉を設け、戸建て感覚を強めた建て方も、このころからしばしば用いられたものである。オール電化の増加が始まる。オール電化マンションとは、マンション内で用いる熱源をすべて電気としたもので、前章で述べたように昭和50年代初頭ごろには、いわゆるデラックスマンションだけに用いられていたが、50年代なかばとなると、一般のフアミリータイプのマンションでも、オール電化を採用するところがふえてくる。とくに超高層マンションでは、災害時の安全性確保のためにオール電化とするところが多く、たとえば56年に完成したサンシテイ(東京・板橋)G棟(25階建て)では、オール電化方式がとられたし、その後に建設された超高層マンションでも、オール電化方式を採用するところが多い。ちなみにオール電化方式をとる住宅(共同住宅が中心であるが、戸建て住宅も含められている)の戸数推移を東京電力調べ(東京電力の営業範囲内)で見ると、50年にはわずか2棟387戸であったものが、54年81棟7859戸、55年151棟1万1826戸、56年252棟1万6268戸、57年368棟2万2347戸へと急増、61年には4万4217戸に達している。

この後、室内設備・仕上げの充実とグレードアップしていく。昭和55、56年ごろからの室内設備の充実傾向はいちじるしいものがある。とくにこのころから、マンション購人の選択権が主婦の手に移るとともに、主婦の家庭生活、あるいは家庭内の労慟などと関連のふかい水回り部分の設備充実が目ざましい。まず、このころからシステムキッチンの普及がはじまる。従来からの厨房セットを揃えて配置する方式から、厨房機器をシステム化し、より使いやすく、しかも美観上も家具ふうに美しいシステムキッチンヘと耘換していく。しかも次第に、オリジナルーシステムキッチンと呼ばれるような、マンション業者が独自に発注・生産させた機器が用いられるようになる。さらにより具体的なことをいえば、昭和50年代なかばごろの流しシンクはまだ二槽式が主朧。これが60年代近くになると、大型一槽式へと変化していく。また50年代なかばにおける流し台や調理台のカウンタートップは、シンクなどと同じようにステンレス製が中心であるが、50年代末ごろとなると、いわゆるエンボス仕上げ(やや凹凸とやわらかみを持った布状製品)、さらに最近では人造大理石仕上げのものが増加する。近隣施設:マルエツ

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